広島高等裁判所 昭和29年(う)110号 判決
公職選挙法第二二一条第一項第四号に所謂受交付罪は、選挙運動が、他の選挙人又は選挙運動者に対して同項第一号乃至第三号に掲げる行為をすることを条件として金銭若くは物品の交付を受けるによつて成立し、交付を受けた者がその交付を受けた金員を該趣旨に従つて他に供与若くは交付したときは、曩の受交付罪は後の供与若くは交付罪に吸収され別罪を構成しないと解すべきである。
ところで本件について観るに判示第一事実については、原判決挙示の各証拠によれば、被告人は舛川徳夫から谷川候補のため選挙運動をすることの報酬並に費用として一括して判示各金員の供与を受けたものであること即ち被告人の自由処分に委ねる趣旨の下に授与されたものであることが認められるので、被告人の右所為は夫々前記法律第二二一条第一項第四号の受供与罪に該当し、同項第五号の受交付罪を構成するものでない。従つて又受交付罪の成立を前提とする爾余の論旨もその理由がない、結局原判決には所論のような事実誤認若くは法令違反はない。